2006/11/09

剣山スーパー林道を再び走ってみた その1

社会人が自由な時間を得るには、多少の覚悟が要る。僕は10月24日午前3時過ぎに起床し、出発の準備を始めた。 仕事を終えて帰宅したのは同日午前1時、就寝は同じく2時。寝てないといっても過言ではない。眠い目をこすりながら服を着替え、 飼い猫に餌と水を多めに与える。タイマーで皿のふたが開く仕掛けになっている自動給餌器をセット。 実家の家族が様子を見に来る明日までは大丈夫なはずだ。僕と一緒に目を覚ました猫が、カリカリと音を立てて餌を食べている。 突然餌をもらえたのが嬉しそうだ。「大人しく待ってるんだぞ」と言い残し自宅を出る僕を、猫は舌なめずりしながら見送ってくれた。

午前5時ごろ、岡山駅に到着。まだ人の行き来がほとんどない駅の西口で、愛車の豪腕号(JAMIS Dakar XC compの2005年モデル)を解体し、輪行袋に詰めた。特急券を購入するため西口窓口に行くが、閉鎖されていた。この時間、 自動券売機も動いていない。新駅舎の中央窓口しかないらしい。階上に出来た新駅舎へ行くには階段しかなかった。現段階では、 道路を挟んだリットシティビルまで行かねば、エスカレーターもエレベーターもない。 重い荷物を持った人や足の不自由な人は遠回りしろというのか。ふざけた話だ。やむなく階段を上がる。輪行袋の肩ひもが食い込んで痛い。 誰もいない改札を通過し、5時半発の高松行きマリンライナーに乗車した。

列車内では、ずっとうとうととしていた。1時間余で高松駅に到着し、特急うずしおに乗り換えた。 同じく1時間10分ほどで徳島駅に到着。その間、やっぱり寝ていた。眠い。通勤時間帯で慌しい駅を出て、 邪魔にならない場所で自転車を組み立てた。近くで某政党の若手が街頭演説をしていた。来年夏の参院選に出馬するらしい。頑張れよ、 僕もこれから頑張るとこだ。

自転車にまたがり、徳島駅を出発。国道55号を南下し、勝浦川を目指した。南からの風が強く、思うような速度が出ない。 つらい旅の予感。途中、コンビニでミネラルウオーターを購入。ボトルケージのペットボトルに詰め替えた。しばらく走り続けると、 勝浦大橋に出た。そこで右折。川沿いの道を遡っていく。

川上に目を向ければ、見上げるほどの山並みが広がる。「剣山へ行くのだ」という実感がわいてきた。ただ、 空が鈍い灰色の雲に覆われているのが気になる。何度か坂を登り上勝町に到着。以前、テレビで見たのだが、上勝町は「彩り」 の町として知られるそうだ。料亭などで料理の飾りに使う木の葉などのつまもの、すなわち「彩り」の販売が町の重要な産業になっているという。 そして、その「彩り」の収穫を支えているのが地元の高齢者なのだそうだ。新たな産業の開発と高齢者の生きがい対策、一石二鳥というわけだ。

そんなことを思い出しながら、正木ダム沿いの坂道で登っていると、頬にぽつりぽつりと雨のしずくが落ち始めた。ダム湖畔にある 「一休茶屋」前で一休み。

細かい雨が道路を濡らす。さて、どうしたものか。

続く!

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2006/10/22

再び剣山へ

久しぶりの更新!
近く剣山スーパー林道を走ります。
前回と同じ、徳島-高知間を3日かけて走る予定です。
剣山登山をして、1955mをきっちり人力だけで登りきります。
後日、更新しますので、よろしく。

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2006/02/06

剣山スーパー林道を走ってみた 最終回

「よしっ」と気合を入れて、剣山トンネルを目指して坂を登り始めたものの、ギアは一番下のインナー-ロー。余裕なし。 砂利にタイヤを取られよろけていると、上から軽トラックが降りてきた。運転手は最初驚いたような顔をしていたが、すぐに笑顔に変わり、 窓から「頑張って」と励ましてくれた。そういえば、すれちがった人たち(1日に2、3組しかなかったが)の反応は、 大概同じようなものだった。こんな山中の砂利道を自転車で走っているのが珍しいのだろう。笑顔で礼を言って、上を目指した。

1キロほどのところで、やせた白い犬がいた。尾を垂れて、上目遣いでこちらを見ていた。警戒しているのが見て取れた。 携帯食のパワーバーをちぎって投げてやると、徐々に近づいて食べた。よほど腹が減っているのか、ガツガツと食べていたので残りを全部やって、 自分は先を急いだ。振り返ると、白犬は口いっぱいにパワーバーをほおばり、もぐもぐさせながら僕の後姿を見送っていた。

2キロを過ぎたあたり。冷たい汗が流れた。足が異常に重く感じられた。ハンガーノックか。朝食は汁粉、昼はチキンラーメン。 行動食は尽きた。カロリーが足りなかった。犬にパワーバーをやったのが悔やまれるが、仕方ない。自転車を押して登ることにした。

剣山へと連なる山稜を眺めながら登っていると、右手に「山の家・奥槍戸」らしき建物が見えてきた。腹が減りすぎていたので、 とりあえず何か食べようと思った。近くに赤い自販機も見える。コーラも飲もうと思った。カーブを曲がるたびに高まる期待。へとへとになり、 ようやくたどり着いたときに見たものは「定休日」の看板。まだ自販機があると思ったら、赤く塗った物置だった。肩を落とし、 とぼとぼとトンネルを抜けた。トンネルは冷たい強風が吹き抜けていた。

トンネルの先は、標高差1000メートル、距離16キロのダウンヒル。かなたに広がる山並みを見下ろしながら、 砂利道を30キロ近いスピードで下った。転倒すればがけ下に転落死というような場所だったが、そんな恐怖も吹き飛ぶほどの爽快感だった。 「また来よう」と心に誓った。高之瀬峡を抜け、国道195号との合流点近くに、スーパー林道の終点を告げる看板があった。 ついにスーパー林道87.7キロを自転車で走破した。全行程を走破したことを記念して、愛車「豪腕号」と看板を撮影した。

ここで、今回の旅は終わりではなく、最終目的地は高知市だった。日は傾き、日没が近いことを告げていた。非常食の氷砂糖を噛み砕き、 水で流し込んで、残り60キロを一気に走った。普通の道路だし、日が暮れて真っ暗だったので、特に面白いこともなし。「ビール、 カツオのたたき」とうわごとのようにつぶやきながら必死で走り、午後8時すぎに市内のホテルに到着。シャワーを浴び、繁華街に繰り出し、 カツオのタタキを食べた。うまかった。ビールの酔いとともに、スーパー林道走破の喜びがじわじわと湧き上がってきた。 うどんを食べたくなったので、うどん屋に寄った。「うろん下さい」。全然舌が回っていなかった。

終わり。

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2006/02/03

剣山スーパー林道を走ってみた その5

一夜が明けた。ラジオをつけたまま寝てしまったのだが、ロッテがリーグ優勝したとか、オールナイトニッポンのオープニングとか、 用を足しに外に出たときに時計を見たら午前3時だったとか、起床は午前6時ということなどを考えると、 ぜんぜん寝付けなかったと言わざるを得ない。疲労困憊していたというのに、寝袋の中で何度も寝返りを打っていただけだった。だが、 筋肉痛も感じない。脚も動くようだ。フリーズドライのお汁粉で朝食を取って出発した。

初日の目的地だったファガスの森にはまもなく着いた。まだ日が昇りきらないせいか、霧が深い。 坂をしばらく登ると六角峠だったか標高1500mほどの峠を越え、しばらく緩やかな下りや平坦な道が続いた。「徳島のへそ」 と名づけられた広場を通過したころ、霧が晴れた。道のはるか先、峰を越えて山腹を降りていく雲が見えた。眼下に広がるのは、 所々紅葉に染まった山並み。自転車は風を切り、小石を蹴散らして走り続けた。爽快だった。

下れば、またいつか登りが来る。岩肌がむき出しになった崖沿いの道を登っていたときだった。やはり脚は十分に回復してなく、 思うようにペダルを回せずに歩くようなスピードでゆっくりと登っていた。そんな時、頭上でカラカラ、と石が転がる音がした。鹿?と思い、 見上げたがその姿は見えない。だが、ガラガラと音を変えながら、何かが自分に近づいてくるのが分かった。まずい、と直感し、 ペダルを必死で回した。十数メートル進んだところで、先ほどまで自分がいた辺りに、ドスンと自分の頭より二周りぐらい大きい岩が落ちてきた。 危ないところだった。すぐそばの岩肌にリンドウがへばりつくように根付いているのが目に入った。リンドウを見ながら、呼吸を整えた。 紫のつぼみが一際鮮やかに見えた。

いくつかの峠を越え、槍戸川に掛かる橋に到着した。ここの標高は約1100m。ここから最後の峠、剣山トンネルを目指す。 4キロ弱で標高差400m以上。坂にうんざりしながらも、これで峠は最後だと気持ちを奮い立てゆっくりとペダルを回した。

続く。

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2006/01/30

剣山スーパー林道を走ってみた その4

まさかの4日連続更新。
しかも剣山スーパー林道ツーリングの話。今更な感じが募るが、坂道の続きから。

漂泊の俳人・種田山頭火は「分け入っても分け入っても青い山」と詠んだ。同じ気分だ。しかも、ここは「曲がっても曲がっても坂道」だ。 見通しの悪いカーブを曲がり見上げれば延々と続く坂道。「もう下りに入るだろう」という甘い期待は打ち砕かれ、疲労感は増すばかり。 腕時計の高度計を見ながら、あと少し、あと少し、と牛の歩みでペダルを回し続けた。

ついに旭丸峠に到着した。ここからはしばらく稜線沿いの道。下りが続くので自転車がスピードに乗るが、 道を踏み外せば崖下にまっ逆さまだ。見通しの悪いカーブも多いので慎重に進んだ。途中、斜面でガラガラと音がするので「落石か!」 と身構えたが、果たしてそれは鹿だった。白い毛の尻を見せながら、急斜面を慌てて登って行った。さらに進むと「雲早山の名水」 という水汲み場に出た。自転車を止め、1.5リットルのペットボトルを満たして再出発した。

道は国道193号と合流。分岐まで一気に下った。だが、前半の登りで予想以上に時間と体力を使ってしまった。 分岐からは再び登りに入る。登れるだけの脚は残っているのか、日没までにキャンプ地予定のファガスの森まで到着できるのか、不安が募った。 当時、193号は土砂崩れによる工事中で一日数回1時間ずつの時限通行で、僕が下っていたときはその日最後の通行可能時間だった。 このまま下れば、四季美谷温泉に着くことができる。温泉に入ってゆっくり休んで、明日は一般道を走って高知か徳島に行けばいいじゃない。 自分一人の旅なのだから、誰も文句を言いやしない。脳裏に温泉と美味しい料理とビールが浮かんだ。だが、僕は再びスーパー林道に入り、 坂道を登った。他人は文句を言わないだろうが、僕は自分をとがめる。きっと後悔する。

自転車に乗ったり、押したりを繰り返し、ゆっくりと進んだが、いよいよ日没が迫ってきた。目的地まであと2キロほどだが、 道路わきに整地された場所があったのでテントを張ることにした。アルファ化米を湯で戻し、ボンカレーをかけて食べた後、 シュラフにもぐりこんだ。時々、石が斜面を転がる音、鹿や猿の鳴き声が遠くに聞こえた。谷を渡る風が木々やテントを揺らした。外をのぞくと、 周囲は霧がかかっていたが、月明かりでぼんやり明るかった。疲れているのに、なかなか寝付けなかった。

続く。

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2005/11/15

剣山スーパー林道を走ってみた その3

久しぶり。
林道の起点からは14kmほど上り坂が続く。起点の辺りが標高300mほどで、最初の峠の旭丸峠が1200mを越えるくらい。 標高差900m・・・。なかなかのヒルクライムだ。

起点からはしばらくの間は舗装路だ。勝浦川の渓谷に澄んだ水が流れていた。景色を眺めながら坂をずんずん上っていく。

その後、ダートに入った。砂利と呼ぶには大きな石が目立つ。ゆっくりと後輪に荷重をかけながらペダルを回すが、 石に当たり前輪が思わぬ方向を向く。非常に上りづらい。後方からスーパーカブが抜いていったが、少し先でふらついて立ち止まっていた。 エンジン付きでも厳しいようだ。

標高800mあたりで、動けなくなった。昼食もとらずに走ったので、ハンガーノックになったようだ。 菓子パンを食べて30分ほど寝たら少し回復したが、思うようには足が動かない。砂利の荒い場所は自転車を押して歩くことにした。 暑くないのに、冷たい汗が流れ続けた。昨夜の下痢が効いてきた。

休憩の回数が増えた。休憩したとき、谷の反対側を見ると、今自分がいるところよりかなり高いところにガードレールが見えた。 しばし立ちすくんだが、前に進むしかないのだ。

続く。

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2005/11/04

剣山スーパー林道を走ってみた その2

下痢で十分な睡眠が取れないまま徳島の夜は明け、午前7時に宿屋を出発。スーパー林道起点のある上勝町を目指した。曇天。

30分ほど走ったところで、SPDペダルで固定された足首が変にくりくり動くのに気づいた。自転車を止めて靴の裏を見ると、 クリートを止めていたボルトが一本抜けていた。代わりになるものはないかと思案したが、ないものはないので、 残る一本をかなり強く増し締めしておくことにした。

再度、出発。ちょうど通勤、通学の時間帯。会社や学校へと急ぐ勤勉な人々に申し訳ない気持ちになりながら起点へ急ぐ。 一般道なので特筆することがない。途中、コーラなんぞを飲んでいたので少し遅れたが、起点に到着した。

見上げれば高い山。長い長い上り坂を予感させつつ、次回へ続く。

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2005/10/26

剣山スーパー林道を走ってみた その1

久しぶりなので、こっそり更新する。
実は、先日、剣山スーパー林道を自転車で走破してみた。しかも一人。車やバイクで走る人は多いらしいが、自転車は珍しいらしいので、 その道中の思い出をブログにしたためることにした。

16日朝、岡山市を出発。JR瀬戸大橋線、高徳線を乗り継いで徳島入り。
明日から2日間の自転車旅に備えて、徳島ラーメンでエネルギーを補給。カーボローディングというやつ?
繁華街にある「銀座一福」で、肉入り中華そばの焼き飯セット。スープは見た目ほど味が濃くない。 スライスした豚ばら肉を煮たものが乗っている。平食のラーメンを思い出した。いや、かなり違うかもしれない。

さらに調子に乗って、岡山には店舗がないフレッシュネスバーガーへ。なんだかモスバーガーに似たメニューだったので、 照り焼きチキンバーガーをテイクアウト。宿泊先の旅館で食べた。険しい林道を走るには、さらにカロリーが必要だと思い、菓子パンも食べた。 かなり満腹になり、早めに寝床に着いたが、腹部に不快感。そして、お腹を下し、カーボローディングはパー。
翌朝に不安を残した。

つづく!

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